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INTERVIEW
2007.4.20 UP
一昨年、日本から初めて女性の写真家として美術の祭典ヴェネチア・ビエンナーレに選ばれる。個展の会場となった日本パビリオンに19万人の驚異的な数の人々が訪れたことは記憶に新しい。「傷を受けた」風景、身体、女性であること、遺品のキーワードを軸に、石内都さんの30余年にわたる「写真を撮ることで歳をとる」軌跡を語っていただきました。

バリケードの中の授業

写真をはじめたきっかけですか? 
友人から預かった写真の引き伸ばし機が家にあったということですかね。
私は、大学(多摩美術大学)はデザイン科で染色をやっていて、写真は習ったこともないしその頃は興味もなかった。その大学だって4年生で中退ですからね。1969年からだったか、大学では1年間授業がなかったんです。その間、女性の仲間たちとバリケードに参加して、そのなかで美術家共闘会議で独自な授業をするということをやっていたので、授業のない大学の授業料は払う必要がない。払わないと卒業できない訳だけど、卒業証書が必要な仕事には就かないだろうと思っていましたね。
多摩美には当時多摩芸術学院という3年制の専門学校が付属してあって、そこの友達に写真をやっている人達が多かった。彼らは頻繁にグループ展を開いていて、私はお客さんで見に行っていたのですけど、友達から預かってと頼まれて、やがて引き伸ばし機が家に到着する。

写真は染物

あるとき、いつも行っているグループ展に欠員が出て参加しないかという話が来たんです。カメラを持ち始めて2か月目のことで、近所をうろうろして海を撮ったり、木を撮ったり、空撮ったり。写真家になるという意識より、引き伸ばし機で写真をプリントすることがすごく面白かった。一人でできる面白さというのかしら。
暗室では現像、停止、定着の三つの薬品を使うのだけど、初めて暗室に入ったときにすごく懐かしい匂いがしたの。氷酢酸の匂いなんですよ。なんで懐かしいかと言うと、私は織物をやっていて糸を染めていたのだけれど、その色染めに純毛などの動物性の糸には氷酢酸、植物性の糸には塩を使うんです。そうか写真というのは染物かもしれないなと。そう考えたら暗室の作業がとても楽しくなってしまって、その時に初めて作品になる写真を撮ろうと思ったんですね。
グループ展で発表したらとても褒めてくれた。私のがいちばんいいって、多摩芸で先生をしていた東松照明さんが。そうか、じゃあ30歳までやってみようかなって。

いちばん遠い場所

最初のシリーズ『絶唱・横須賀ストーリー』(1976─77)はネガが濃いのですよ。薄いより濃い方がいいよという友人のアドバイスを真に受けて、高めの温度の現像液で20分かけて現像する。だからネガを光にかざしても真っ暗で見えないのね。印画紙に焼き付ける時は、普通10秒ぐらいでプリントできるけれど、小さいサイズでも10分という異常に長い時間がかかる。加えて風景の空の部分などいくつかを覆い焼きをしていって、その結果隅から隅まで粒子が出るわけです。私が見た目はこれだけど、現実的にはこんな粒子がザラザラした横須賀はないんですよ。
父の仕事の都合で私が小学校に入る時に横須賀に移ってきた。群馬の田舎に住んでいて急に横須賀に来た時のカルチャーショックったらなかったです。あまり良い思い出はなかったですね。早くここから出て行きたかった。この写真を撮った時にはもう私は東京に住んでいたのだけど、なぜ横須賀を撮りに行ったかと言うと、私にとって一番遠い場所だから。ある種の「傷を受けた町」というイメージがあって、風景を撮ろうという時に、いちばん嫌な所を撮ればいいと気がついた。そうか横須賀かって。

敵討ちのようなもの

『絶唱・横須賀ストーリー』に続く『アパート』(1978)と『連夜の街』(1978―80)の初期の三部作は、敵討ちのようなものだと私は思っているわけ。
『アパート』は、横須賀、横浜、東京で撮ったものだけれど、横須賀で暮らしていた時のイメージなのです。思春期にアパートの六畳一間に4人住んでいたおぞましい思い出があって、アパートという逃げたい場所のイメージを撮った。
昔の赤線の古い建物を撮った『連夜の街』はもっと「敵討ち」です。売春ということと自分が女性であることを最も考えていかなければならない場所ですね。なんでここに引きつけられ、この建物を撮るのかと考えた時に、もしかしたら私がここに居たかもしれないと、ふと思ったわけです。そこでもし自分の身体が商品として売れることを知ったとすると、私個人のことではなくて、女性性に関わるもっと大きな意味を考えざるを得ない。時代とともに生きてきたわけだから、社会との関係性は当然写真に表れてくるのですよ。
この初期の三部作は私のまったく個人的なこだわりを撮っていたんですが、にもかかわらず外側しか撮れなかった。それは私と社会との関係性の距離を測るとうことになるわけです。

時間が溜まっている

この三部作を撮り終えたら自分の内部に溜まっていたものが全部出ていっちゃった。もう写真は撮らなくていいと。こだわりがなくなったら表現する基がないのと同じですよね。習っていないから撮影技術はさほどないし、私が撮らなくてもいい写真はいっぱいあるわけですよ。でもダラダラとは撮っていて、はっと気がついたらもう40(歳)じゃない。ああ40年も経っちゃったかと言って、じっと手を見るじゃないですか。

私が40年過ごしてきた時間というのは、どこかに絶対あるわけですよ。それは手と足じゃないかと。身体の末端はいちばん時間が溜まっているような気がしたんです。手は、外に向かってものを作ったりする。外との接点がいちばん多い。足は、いちばん地球のマグマに近い。全人生をこんなちっちゃなもので歩いたり、支えたりしてきているわけです。40年間を見たいという欲望の結果として、1947年に生まれた同じ歳の女性の手と足を撮っていこうと考えたのです。三部作以降9年ぶりの写真集『1・9・4・7』(1990)に収められた写真ですね。

次号へ続く 2007.5.2 UP
( 2007年4月 横浜にて TEXT:中島崇/映像作家 PHOTO:杉本青子 )
INTERVIEW:石内 都 Part 1 / Part 2
Profile: 石内 都
いしうち みやこ 写真家

1947年、群馬県に生れ、横須賀に育つ。'70年、多摩美術大学デザイン科織りコース中退。'75年、写真を始める。'79年、第4回木村伊兵衛賞。'99年、第15回東川賞国内作家賞、第11回写真の会賞。'06年、日本写真協会賞作家賞。


個展:

絶唱・横須賀ストーリー('77年、ニコンサロン、東京)、TO THE SKIN('94年、ギャラリー手、東京)、1・9・4・7('94年、ローレンスミラーギャラリー、ニューヨーク)、Chromosome XY('95年、ツァイトフォトサロン、東京)、モノクローム―時の器('99年、東京国立近代美術館フィルムセンター、東京)、爪 nail('01年、ギャラリードゥ、東京) Mother's('02年、中京大学アートギャラリーCスクエア、名古屋)、Mother's('03年、セピアインターナショナル、ニューヨーク)、イノセンス(ツァイト・フォト・サロン、東京)、マザーズ2000‐2005 未来の刻印('05年、ヴェネチアビエンナーレ、ヴェネチア)、他


写真集・著書:

『APARTMENT』
'78年、写真通信社

『絶唱・横須賀ストーリー』
'79年、写真通信社


『連夜の街』
'81年、朝日ソノラマ


『1・9・4・7』
'90年、I・P・C

『モノクローム』
'93年、筑摩書房

『 1906・to the skin』
'94年、河出書房新社


『Hiromi 1955』
'95年、伊藤比呂美と共著、筑摩書房


『さわる Chromosome XY』
'95年、新潮社

写真誌『Main』全10号
'96〜'00年、楢橋朝子と共同で刊行

『Yokosuka again 1980-1990』
'98年、蒼穹舎


『爪』
'00年、平凡社

『連夜の街』
'01年、ワイズ出版


『Mother's』
'02年、蒼穹舎


『キズアト』
'04年、日本文教出版


『マザーズ2000-2005 : 未来の刻印』
'05年、淡交社

『SCARS』
'05年、蒼穹舎

『キズアト』
'05年、日本文教出版


薔薇のパルファム
'05年、蓬田勝之との共著、求龍堂

[ NEWS ]

横須賀美術館 開館記念
《生きる》展
─ 現代作家9人のリアリティ

'07年4月28日〜2007年7月16日

石内都作品展 INNOCENCE
─キズアトの女神たち

'07年6月12日〜7月5日、ツァイトフォトサロン 、東京

写真集『CLUB & COURTS YOKOSUKA YOKOHAMA
'07年4月刊行、蒼穹舎

● 写真集『INNOCENCE
'07年4月下旬刊行予定、赤々舎

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