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INTERVIEW
佐東利穂子
2008.12.26 UP
現在、佐東利穂子さんは勅使川原三郎さんのKARASのメンバーとして、いわゆるモダン・ダンスやバレエのフィールドにおさまらないソリストとして海外でも活躍し、高い評価を得ているダンサーですが、学生の頃は身体を使った“何か“をしてみたいと思い、いろいろとダンスを見、ワークショップに参加してきたのだそうです。しかしどれも違っていると感じていました。そんな時、知人の紹介で観た勅使川原三郎さんの舞台に出会いダンスの世界に入っていきました。

身体との出会い

『風花/KAZAHANA』(C) Marc Vanappelghem Rolex 2004私は小さいころ、器械体操をやっていました。しかし痩せていて筋肉がつきにくい体質だったので、いわゆる技などは苦手というか下手だったんですね。
今考えてみると身体の動き、繋がり、音楽にとても興味があったんだと思います。なので自分がある年齢に達し、何か表現をしたいと思った時、それは身体を使うこと、ダンスではないか、と思ったのです。とは言うものの、ダンスとはどういうものかということさえも知らなかったので、公演や様々な稽古場など見てまわりました。しかし自分がやりたいこととはどれも何か違う、という思いと、でもだからといって自分が何をどうやって始めたらいいのかも分からない、というもどかしい思いのまま随分長い時間を過ごしました。
そんな時、知り合いの方に勅使川原さんを紹介され、観にいって感激して、舞台の上に現れている世界の奥に潜むものを私自身の身体で知りたい、と思ったのです。それが私にとってのダンス、自分の身体との出会いだったと思います。

出発点としての自分の身体

佐東利穂子さんKARASでは、それぞれの作品にタイトルやテーマはもちろんありますが、「それを表現する」ということが目的ではありません。言葉や、その時々の題材や環境などの様々なものとの出会いによって、何が起こりうるか、ということを、身体を出発点として探っていきます。
どんな場合でも自分自身の身体を出発点とする、ということをみんなで共有している、とも言えると思います。そしてそれぞれの身体の資質は違いますから、そこから出てくる動きや形も全くユニークなものになっていきます。

勅使川原三郎さんの演出

消息練習では、たとえば身体の「力を抜いて」と勅使川原さんに言われるとします。言葉で聞くと簡単そうですが、実際はなかなか簡単ではありません。しかも出来てないということを自分で分かりきれていないんです。さらに「もっと抜いて」と言われ、そこで自分では抜いている“つもり”で止まってしまったらそれ以上の経験や変化は起こらないのです。
身体が変わったり、変われたことを感じることが大切なんです。出来たか出来なかったではなく、自分の身体の状態に対して正直になれるかということをとても言われますね。身体の状態の変化を導くような指示、それを実際に感じているかどうかを問われ、自分に問いただす、それの繰り返しなんです。
それで身体の状態は変化してくるんです。微妙な変化を感じて自分の身体が滑らかになってコントロールできるような感覚が持てるようになります。ですから練習といっても、既存の形を形式的に習うのということではなく、「自分の身体からどのように動きが生まれうるか」という事を出発点にいます。

身体の内側と外側

内側で起こっていることに対しては日々の訓練の中でとても厳密に身体の細部を感じたり、あるいはそこに生じる違和感という感覚をとても大切にしています。そして身体の外側に対しては、境界線を持つような感覚では自分の身体の表面とかワクとかを感じていないですね。
身体の状態は一様ではなくて、常に変化し続けています。自分にとって身体の状態が様々なものの影響によって変わるという事が面白くて、それがもとで踊っているんですね。

感じられる身体の可能性

消息いま、大学で週一回ワークショップの授業を受け持っています。そこではまず自分の身体を感じる、ということを丁寧に根気よく探り続けてもらっています。そこの大学は、舞踊専門のところではないので、クラスには様々な経歴、身体の人たちがいます。そこで私は勅使川原三郎さんのダンスメソッドを、現在もそれをもとにダンスを続けている者として、彼らに伝えています。
必ずしもダンスを志しているのではないにしても、何らかの形で表現をしたい、と思っている人が多くいます。どのような表現形態を志す場合でも、まずは自分自身の身体をよく知るというところから出発する、という点で共有できるものがあると信じて、自分の経験を伝えています。
身体の訓練としては同じ事を何度も行いますが毎回新鮮な発見があります。自分の身体と向き合うことが出発点となり、そこから毎回違う発見や新しい体験を積み重ねていきます。
身体の事を扱う時に、先入観や恐怖感などは邪魔になります。感じられる身体なのに、みずから遮断してしまうのですね。それはとてももったいない事だと思います。繰り返し行う稽古の中で、毎回自分と向き合って身体を意識し、新鮮な発見をし、身体の感じる可能性を開いていきます。

これからのこと

佐東利穂子さん様々な環境で踊る、身をそこに置く事にとても興味があります。
先日スウェーデンのフォーレ島という所で踊りました。そこはイングマール・ベルイマン監督が亡くなる前に住んでいた所なのですが、そこで勅使川原さんが監督の映像作品を制作しました。『ペルソナ』で出てきた海岸などありとあらゆる自然の中で踊り、ベルイマン監督と長年仕事をしていたスチールカメラマンの方が撮影をして下さいました。夜の11時から3時ぐらい白夜の中、とても美しい光のなかで撮影してきました。このような美しい自然の中で踊る事ができたのはとても貴重な経験でした。
これからもいろんな事をやってみたいと思っています。ソロ公演や、踊り以外でも興味を持ったことを、自分で決めつけないでやってみたいと思っています。

(2008年11月 東京・KARASスタジオにて TEXT:山本晃  PHOTO:広瀬壮太郎/office北北西 )

INTERVIEW:佐東利穂子 Part 1 / Part 2

 

Profile:佐東利穂子
さとうりほこ 
KARAS/ダンサー

神奈川県出身。15歳まで英国とアメリカで育ち、ジムナスティックを学ぶ。帰国後ダンスを始め、1995年からKARASワークショップに参加。1996年にKARASメンバーとなって以降、勅使川原振付の全てのグループ作品に出演。『KAZAHANA』ではソリストとしてその繊細で鋭利な独特の質感のあるダンスが国際的に高く評価される。2005年4月ローマで初演した『Scream and Whisper』では、共演のヴァスラフ・クーニェスとともに、仏・伊ダンス雑誌「Ballet 2000」の2005年度年間最優秀ダンサー賞を受賞。『消息』で、2007年度日本ダンスフォーラム賞受賞。近年は、勅使川原の演出・振付助手も務めている。

KARAS公式サイト
http://www.st-karas.com/

「勅使川原三郎 + 佐東利穂子 《時間の破片─Fragments of Time》」
振付・美術・照明・衣裳:勅使川原三郎/出演:勅使川原三郎、佐東利穂子
2008年9月13日〜11月16日 
※インスタレーション展示は11月30日まで
横浜 横浜トリエンナーレ2008会場
http://yokohamatriennale.jp/2008

● 公演予定

「勅使川原三郎 ダブル・サイレンス─沈黙の分身」
振付・美術・照明・衣裳:勅使川原三郎/出演:勅使川原三郎、佐東利穂子、他KARASメンバー
2009年3月21日(土)〜29日(日)
東京 Bunkamura シアターコクーン
http://www.bunkamura.co.jp


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「身体の冒険 ダンス・舞踏・バレエ Part.1」
「身体の冒険 ダンス・舞踏・バレエ Part.2」

 

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