DVDの内容紹介
● 例えば、平均寿命、地球温暖化、時刻表。
〜これらは全て「天気予報」みたいなもの〜
「こうしたら、ああなるだろう」と予定調和を前提にして生きる現代において、現代批判でもなく、回顧主義でもなく、信じてきた価値観が崩壊したと言われても生き続けなければならない私たちのこれから。
「私はいつも想像してみる。こうなればいい、こ うなればいいって。でも、そうなることなんてほ とんどない。でも、それが悲しいとは思わない。 ただ、切ない。時に、それは楽しい。きっと、そ んなことの繰り返しのなかで生活がつくられる。」 (主宰・矢内原美邦)
本作は「こうしたら、ああなるだろう」と予定 調和を前提にして生きる私たちの現代について考 えてみようと思います。
10周年を終えたニブロールの新作は、現代批 判でもなく、回顧主義でもなく、 信じてきた価値 観が崩壊したと言われても生き続けなければなら ない私たちのこれからを提示していく作品であり たいと思っている。
朝起きて、ネットを立ち上げて、天気予報のチェック。今日の気温は?
降水確率 は?
着ていく服がようやく決まる。駅のホームには、時刻表に沿って分刻みで到着す る通勤電車。どこかで起こった人身事故にイライラしながら、待つこと5分。謝罪のア ナウンスで、少しだけ納得する。 私たちの日常は、こんな場面で溢れている。いつも、 「こうしたら、ああなるだろう」と、世界を予定調和に捉えて暮らしている。これは、 まさに“現代文明病”だと思う。街を一歩飛び出せば、つまづいた石に文句を言う相手 はいない。ヨガ教室にせっせと通うあの子の顔にはニキビができて、多くの命を救った 近所の名医は、癌であっさり亡くなった。「こうしても、ああならない」本当は、ま ったく予定調和じゃない。
血液型の本がベストセラーになることも、学校に乗りこむ モンスターペアレントの誕生も、金融工学を使ったサブプライムローンも、街中に張り 巡らされたセキュリティ装置も、みんな、「こうしたら、ああなるだろう」と予定調 和を信じてしまう現代文明病。とはいえ、私たちも文明人であることからはきっと逃れられない。
あいちトリエンナーレ2010での初演からさらに推敲を重ね、2週末にわたるニブロール初のロングラン公演となった、2011年6月24日〜7月3日シアタートラム公演を収録。
●Nibroll(ニブロール)
1997年設立。
ダンスを中心に映像、音楽、美術、衣装、照明などの各分野で活躍するアーティストたちが集結したカンパニー。各ディレクターがそれぞれの分野での表現の模索を自由に行うことで、新たな芸術の可能性を追求している。
08年には10周年記念作品『ロミオORジュリエット』を発表し、日本ダンスフォーラム賞大賞を受賞。
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