DVDの内容紹介
●ダンスに生まれ変わる、チェーホフ
「桜の園」が描かれた約100年前。歴史の大きな転換期に、柔軟に対応する人々がいる一方で、いつまでも習慣や思考を変えることのできない人々。それは現代に生きる我々が共感できる時代の心理ともいえます。
日常生活のリアルで繊細な描写を通して、人間の本質を伝えるチェーホフの戯曲に、何気ない日常の身ぶりをベースに時代を鋭く表現してきた矢内原が挑みます。
日常のなかに潜むすべての出来事が閉じ込められた世界、そうなのかもしれない。
私達はある限られた時間と距離のなかで生きている。チェーホフの桜の園はそんな感じだ。
そうして台詞をつかわないダンス作品のチェーホフに挑む私は、ただその距離感や限られた時間のことについてだけ考えている。
その限られたものとは、子ども時代ですか?学生時代ですか?それとも今ですか?
そんな、すべてがきっとただの一瞬の出来事かのように思う。
エドワード・サイードが言った『いつか、やがて、その問題も解決するだろう。』ときっとチェーホフもそう思ったのだろう。きっとこんな問題は今解決しなくてもいつか、どこかで解決するだろうと... ーー矢内原美邦
●矢内原美邦(やないはらみくに)
1971年生まれ。97年、『ニブロール』を結成し、代表兼振付家としての活動を始める。日常的な身振りをベースに現代の東京の空気をドライに提示する独自の振付で、国内はもとより世界的に高い評価を受けている。
05年、自身が劇作・演出を手がける演劇プロジェクト「ミクニヤナイハラプロジェクト」を始動。創造性に溢れた言語感覚で物語を紡ぐ。言葉と身体と映像をクロスさせ、疾走感に溢れる膨大な情報量で観客を魅了する。07年、ソロダンス作品『さよなら』にて、第一回日本ダンスフォーラム賞を受賞。08年、『青ノ鳥』が、また12年『前向き!タイモン』が岸田國士戯曲賞 受賞。 |