ザ・ガーデン

鬼才デレク・ジャーマンがイメージ豊かに描く現代の「エデンの園」。
荒野の原発とキリスト、華やかなゲイの男たちと迫害。
天国と地獄を背負ったデレク・ジャーマンの残した黙示録。

● 「『最初の庭』つまり『エデンの園』。『天国』という言葉は本来はパラダイスという意味であり、パラダイスはガーデンとも同じ意味なんだ。」とナレーションで語られる。デレクにとってその庭は手を触れることのできる愛すべき世界であり、自らが生きてきた世界の望ましいミニチュアでもあったのではないだろうか。 キリストを思わせる彷徨える男、ゲイの美男カップル、女装のキリストの愛人とされるマグダラのマリア、頭上に短い風前の灯火となった蝋燭いただく老人たち。 愚かな、しかし愛すべき人間たち。荒涼とした土地に未来と古代が同時にある世界。どこまでも続くフェンス。デレク映画の女王ティルダ・スウィントンが子どもを抱きしめ、テロリストのような黒マスクの男たちに、まるで銃を向けられるようにカメラに包囲される。大胆にフィルターとエフェクトをかけられた海や空と背景が合成され、あり得ない美しい光景が繰り出される。