DVDの内容紹介
● 画像を全く排し、サウンド・トラックだけが終始ブルーのみのスクリーン上に流れ続ける、デレク・ジャーマン最後の監督作品。『BLUE』は、溢れ出す奔流というよりは、静かに澄み渡り、穏やかな、包まれた湖のような作品であり、観客全員がそれを分かち合うために招待された、パーソナルな旅なのである。
製作は、長年ジャーマン作品をプロデュサースしてきたジェームス・マッケイと浅井隆のプロデュース。サウンド・トラックの声の出演者は、ジャーマン作品にはお馴染みの面々である。ジャーマン作品においてサウンド・トラックはいつも非常に重要な要素であり、『カラヴァッジオ』以来、サイモン・フィシャー・ターナーが担当してきた。ターナーの一連の音楽のアイディアは、ジャーマンのクリエイティヴな映像にぴったりとはまっている。声、音楽、そして周囲の効果音によって創り出された聴覚のコラージュは、ブルーの画面と融合し、見事なまでに美しいサウンド・デザインとなる。
●『「BLUE」はフランスの画家イブ・クラインに捧げたモノクロームの映画で、私がCMV(サイトメガロウィルス)の治療のために、セント・バーソロミュー病院に入院中に書いた日記をもとにしている。クラインの理論と私の詩と、スレイド・アート・スクール在学中に書いた話から構成されている。これは、初めてエイズを病む者がエイズを描いた映画となるだろう。これまで私たちが見てきた映画は、外側からの発言に終わっている。私にすれば、この伝染病を描いたと称する映画はどれも失敗作だ。なぜなら、それらはいつも感傷に過ぎ、私が現実におかれている状況を反映していない。このウィルスの特性は<姿が見えぬ>ことだ。「BLUE」は、そのことを的確に表現している』。(デレク・ジャーマン)
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