DVDの内容紹介
●「こんな窮屈な世界では、自由なんてもう手に入らないさ」みたく思うこともある。そういった中で生きてくしかないことを、絶望的な何かとして表現したい気持ちになることは、もちろんあります。でも「自由なんて誰の手中にだってすでにある」と思うことだってある。自分がこの世界を、けっして窮屈だと思ってないとき……。「フリータイム」は、後者の気分を扱う作品になるでしょう。チェルフィッチュが、新しい局面に突入したくて手がける新作です。
新しい局面とはどのような光景だろうという期待がある一方、そんなところにほんとに辿り着けるのかという不安があります。同時に、そんなところにほんとに辿り着いたらどうなってしまうのかという不安もあります。でも、とにかくフル・スロットルで進むことにします。そこで弛めてしまうのは、せっかく与えられている自由の行使をしないこと、それはよくないことだからです。──岡田利規
● チェルフィッチュ/岡田利規
岡田利規が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして1997年に設立。
チェルフィッチュ(chelfitsch)とは、自分本位という意味の英単語セルフィッシュ(selfish) が、明晰に発語されぬまま幼児語化した造語であり、現代の日本、特に東京の社会と文化の特性を現したユニット名。01年3月発表『彼等の希望に瞠れ』を契機に、現代の若者を象徴するような口語を使用した作風へ変化。さらに、『三月の5日間』(第49回岸田國士戯曲賞受賞作品)、『マンション』などを経て、日常的所作を誇張しているような/していないようなだらだらとしてノイジーな身体性を持つようになる。
その身体性は時にダンス的とも評価され、05年07月ダンス作品『クーラー』で「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005〜次代を担う振付家の発掘〜」最終選考会ノミネートされた。
07年5月ヨーロッパ・パフォーミングアーツ界の最重要フェスティバルと称されるKUNSTENFESTIVALDESARTS2007(ブリュッセル、ベルギー)にて『三月の5日間』が初めての国外進出を果たす。08年3月には『フリータイム』をKUNSTENFESTIVALDESARTS2008、Wiener Festwochen(ウィーン、オーストリア)、Festival d’AUTOMNE(パリ、フランス)との共同製作作品として発表。現在ではアジア、欧州、北米にて海外招聘多数。
一方、国立国際美術館30周年記念公演(大阪)、森美術館主催「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展(東京)、横浜トリエンナーレ2008(横浜)、Nam June Paik Art Center(ギョンギ、韓国)など、演劇のみならず美術展へも参加している。 |