●作品によせて
岡田利規による「想像力」の物語・高嶺格の舞台美術をBlu-rayで。
演劇カンパニー「チェルフィッチュ」の主宰・劇作家として、現代社会に生きる人々を独自の言語と身体感覚を用いて鮮やかに描き、2011年の震災後も日本の社会状況を露わに批評した作品を発表してきた岡田利規。
本作では、2015年9月に韓国・光州にオープンしたAsian Arts Theatreからの委嘱を受け、初めて日本人以外の俳優との創作に臨みました。
「日韓共同制作」という枠組みでしか描けない物語とその表象を、身近な「野球」を題材にすることで最大限に追求し、「アメリカ」という巨大な存在との関係性について、これまでにないスケールで社会への重要な問いを投げかける本作。
今回、その作品世界を存分に味わっていただくべく、日韓英3カ国語字幕付き・高画質映像をBlu-ray Discでご用意しました。
岡田演出による独特な身体性を目線の変化・指先の動きまで捉え、現代美術家・高嶺格によるダイナミックに変化する舞台美術が 間近で観られる美麗な映像でより臨場感たっぷりにお届け。
チェルフィッチュ・岡田利規作品史上初となるBlu-ray、その高画質映像で、作品をこれまで以上に隅々まで味わえます。
●あらすじ
野球のルールを知らないふたりの女子。彼女たちに一所懸命ルールを説明しようとする男(しかし彼は野球が嫌いだという)。 それから、人生になぞらえて野球を語るイチロー(あるいはその偽物?)。 日本語/韓国語/英語が入り混じるなか、舞台は限りなくユルいノリで展開。やがて舞台は不気味な予兆をまといはじめる。 野球にまつわる日韓男女の個人的なエピソードは、両国の上にある、背後にある、内部にある存在「アメリカ」というテーマへと収斂していく。
●岡田利規プロフィール
1973 年 横浜生まれ、熊本在住。演劇作家/小説家/チェルフィッチュ主宰。活動は従来の演劇の概念を覆すとみなされ国内外で注目される。'05 年『三月の 5 日間』で第 49 回岸田國士戯曲賞を受賞。同年 7月『クーラー』で「 TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005ー次代を担う振付家の発掘ー」最終選考会に出場。'07 年デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を新潮社より発表し、翌年第二回大江健三郎賞受賞 。12 年より、岸田國士戯曲賞の審査員を務める。'13 年には初の演劇論集『遡行 変形していくための演劇論』、'14年には戯曲集『現在地』を河出書房新社より刊行。'15年初の子ども向け作品KAATキッズプログラム『わかったさんのクッキー』の台本・演出を担当。'16年よりドイツ有数の公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリー作品の演出を3シーズンにわたって務める。