DVDの内容紹介
●華々しい国際的評価を得ながら、職能としての「建築家」が根付かない日本
国際化を迎えた70年代からの記憶とともに、揺れ動く日本人建築家たち。
1982年、アメリカ、シャーロッツビル。当時、世界を代表する超一流建築家が一同に会し、建築の未来を 議論する伝説的な国際会議が開かれた。その名は「P3会議」。日本からは磯崎新が2人の無名の若手を伴って参加する。後に世界的な建築家へと成長する安藤 忠雄と伊東豊雄であった。そして30年後。建築家たちが初めて当時を振り返る取材に応じる。数々の証言が織りなす日本建築史の舞台裏。それは高度に資本主義化した社会で、何をどう生み出すのかという彼らの夢と挫折の歴史。バブル経済がもたらした功罪や、公共建築のあるべき姿も問い直されていく。
●監督はドキュメンタリーとしては初の長編となる石山友美。大建築家たちや神話的エピソードを崇めることは一切せず、今の問題意識から建築家の存在意義を問いかけていく。その切れ味鋭い批評眼は、いまだ体験したことのない高揚感を観る者にもたらすだろう。
安藤忠雄●1941年大阪府生まれ。世界各国を旅した後、独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。環境との関わりの中で新しい建築のあり方を提案 し続けている。2011年、東日本大震災復興構想会議議長代理。この東日本大震災で親を亡くした子どもたちの学びを支援する為、「桃・柿育英会」と称した遺児育英資金を設立。被災地の子どもたちに、年間にわたって支援を続ける。
磯崎新●1931年大分市生まれ。1963年磯崎新アトリエを設立。以来、国際的建築家として活躍。世界各地で建築展、美術展を開催し、また多くの国際的なコンペの審査委員、シンポジウムの議長などを務める。建築のみならず、思想、美術、 デザイン、文化論、批評など多岐にわたる領域で活躍。
伊東豊雄●1941年京城(現ソウル)生まれ。菊竹清訓建築設計事務所勤務後、1971年アーバンロボット設立。79年伊東豊雄建築設計事務所に改称。近年は「伊東建築塾」や「みんなの家」など、社会にコミットメントした活動も精力的に行っている。2013年、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞。
ピーター・アイゼンマン●1932年アメリカ生まれ。コーネル大学建築学部卒業、コロンビア大学建築学部修士課程を経てケンブリッジ大学で博士号取得。1960年代末に「ニューヨーク・ファイブ」の一人として登場し、1967年からIAUSを主宰。IAUSはのちにANYコーポレーションへと発展解消。1980年代には「デコンストラクティビズム」を提唱し、建築界に旋風を巻き起した。
チャールズ・ジェンクス●1939年アメリカ生まれ。建築理論家。「ポスト・モダン」という術語を建築の分野で初め定義づけ、その後「ポスト・モダン」「ポスト・モダニズム」 は世界中の批評家、芸術家、思想家などにより使用されるようになった。現在も多くの大学で講義を行い、精力的に出版活動を続ける。また、自身も作家としてランドスケープデザインなどを手がけている。
レム・コールハース●1944年アムステルダム生まれ。ロンドンAAスクールで学び、建築家となった。IAUSに在籍していた1978年に発表した著書『錯乱のニューヨーク』により一躍その名を世界に知らしめる。OMA(建築事務所)・ AMO(シンクタンク)を主催。2014年にはヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の総合コミッショナーを務めた。
中村敏男●1931年生まれ。『近代建築』、鹿島出版会を経て、1971年から1995年まで『a+u』編集長を務める。1991年から1999年までプリツカー賞の審査員を務める。その他、建築分野における重要書籍の翻訳者としても知られている。
二川由夫●1962年東京都生まれ。1985年早稲田大学理工学部機械工学科卒業。 1989年プリンストン大学建築学部修士課程修了。父、二川幸夫が創業した建築書籍出版社、エーディーエー・エディタ・トーキョー入社。建築に関わる書籍/雑誌において編集者、写真家、評論家として二川幸夫と協働。現在、エーディーエー・エディタ・トーキョー代表、GAシリーズ編集長。 |