ロシアが世界に誇る名匠アンドレイ・タルコフスキー監督。かつてソクーロフの第一回監督作品『孤独な声』が、旧ソビエト当局により上映禁止処分を受けた時、タルコフスキーは擁護し、更に「この映画にも欠点はあるが、それは天才による欠点だ」と評価した。そして後年ソクーロフは、タルコフスキーの人と思い出に捧げて本作を作った。彼の暮らした町や住まいを訪ね、その監督作品や撮影現場のメイキング映像を引用し、ナレーションも自分で担った。ちなみに終章に流れるチェロの演奏は、タルコフスキーと同じく亡命者だったムスティラフ・ロストロポーヴィチによるものである。
脚本・監督・ナレーション:アレクサンドル・ソクーロフ/撮影:アレクサンドル・ブーロフ、アレクセイ・ナデーノフ/編集:リュドミラ・フェイギノワ、タチヤーナ・べラウーソワ、アレクサンドラ・ジーハレワ、レーダ・セミョーノワ、リーダ・ヴォルコワ /日本版字幕:岡枝慎二
1986、1987年/87分/モノクロ/旧ソビエト
● 監督のコメント 私は劇映画とドキュメンタリー両方の手法で映画をつくり続けてきました。 どちらを選ぶかは 課題の立て方により決めています。 プロットがあり 登場人物の心の動きで描く場合は 俳優に演じてもらわなければなりません。 しかし実際の生活、人生を描くとするならドキュメンタリーが必要とされます私の“課題”に迫っていただければ幸甚の至りです。───2012年4月、 アレクサンドル・ソクーロフ
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