DVDの内容紹介
●アメリカ・インディペンデント映画の金字塔!
故郷リトアニアをナチスによって追われ、アメリカに亡命したジョナス・メカスは、ブルックリンで16ミリカメラを手にし、日々の出来事をフィルムに記録していった。刺激的な60年代のニューヨークで詩人、映画作家、映画批評家、アンダーグラウンド映画上映のオルガナイザーとして多方面にわたり活躍するようになったメカスは、1969年に毎日撮りためていた映像を初めて日記映画『ウォールデン』としてまとめ、発表する。自在のカメラワークと情感豊かな詩情に満ちたこの作品は、たちまち人々の心をとらえ、アメリカのインディペンデント映画史の名作として語り継がれるようになった。日記映画というジャンルを創設し、メカスの映像作家としての名を一躍高めた不朽の名作『ウォールデン』を日本で初めて劇場公開する。
●1960年代のニューヨーク前衛アートシーンを描いた壮大な叙事詩
『ウォールデン』は、メカスが1964年から69年に撮影した映像が、時系列に並列されている。『ウォールデン』は、個人的な日記映画でありながら、メカスが身を置いたニューヨークのアートシーンのポートレートでもある。アンディ・ウォーホルと彼の“ファクトリー”のメンバーたちによるパーティー、ギンズバーグらビートニクの詩人たちのリーディングの様子、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド結成時のライブ映像、ジョン・レノンとオノ・オーコによる“ベッド・イン”の模様など、文化の歴史的な瞬間の貴重な記録にもなっている。
●監督#ジョナス・メカスの言葉
さて、親愛なる観客の皆さん。(略)皆さんにはこの映像をただ見つめてほしい。特に何も起きない。映像は流れ、そこには悲劇もドラマもサスペンスもない。たんなるイメージ。私自身と、その他の少人数のためのもの。見る必要の無い人もいる。見なくたっていい。しかし見るべきだと思ったら、座って映像を見つめればいい。私が分かるのは、人生が続いていくように、映画も長くはそこに存在しないということだ。大洋の岸辺ののどかな小さな町も、やがてはなくなるだろう。朝の船もなくなるだろう。もしかしたら木も花も。全てなくならないとしても、今ほど多くはないかもしれない。これが『ウォールデン』。あなたが見ているもの。”—『ウォールデン』ナレーションより
●主要コメント
もしそこにメカスのカメラがなかったとしたら、幸福の断片の瞬間は、地上から永遠に消え去ってしまう──中沢新一(人類学者・思想家)
#ジョナス・メカスの映画は人生を讃える。世界の圧倒的な商業主義に対抗して立ち上がり、その代わりに友情や初雪、春の訪れがもたらす喜びを蘇らせる。
メカスの才能は、観客を寛大に彼の世界に包み込み、単純なイメージで、驚異的な力と詩への希求を<再>発見させるところにある。──ヤン・ボーヴェ(映像作家)
#ジョナス・メカスは映像作家以上の存在だ。彼は我々の住む世界のリアリティーを改めて創造する。<中略>私が『ウォールデン』を薦めるのは、今がこの作品を再発見するのに一番のタイミングだからだ。メカスの作品では、時間のみが一直線に流れ、物語はそうではない。この作品を観ながら、観客はメカスの物語への予言者的なアプローチに気付くであろう。──ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(キュレーター)www.electronicbeats.netより
メカスの映画の最良の部分を見出すことができるのが、情熱に満ち、圧倒的なフィルム『ウォールデン』である。──エデュアール・ワイントロープ(カンヌ監督週間芸術監督)
『ウォールデン』はリュミエール兄弟に捧げられている。彼らが日常をとらえた同じやり方で、過ぎ去ってしまった世界に命を吹き込むのだ。──ニック・ピンカートン、ヴィレッジ・ヴォイス紙 |