DVDの内容紹介
●2011年の福島第一原子力発電所事故後に無人地帯と化した町に残り、置き去りにされた動物たちの世話をしながら一人で暮らす松村直登さんに密着したドキュメンタリー。自らも建設に携った原発に翻弄(ほんろう)され、故郷を出ざるを得ない状況に抵抗すべく、放射能汚染された福島県富岡町に単身とどまり生き物の命を支える松村さんの姿を、季節の移ろいと共に映し出す。監督は、『孤独なツバメたち 〜デカセギの子どもに生まれて〜』などの中村真夕。
●ストーリー
福島第一原子力発電所から12キロに位置し、原発事故後全町避難となった福島県富岡町には腹を空かせた犬猫や家畜があふれていた。そんな場所に一人残った松村直登さんは、動物たちにエサを与え面倒を見ている。彼が建設に関わった原発は地元に経済的恩恵をもたらすも、事故で人々の生活は一変。置き去りにされた動物たちを見守り続ける松村さんの日々を追う。
●特典映像:短編映画「ナオトひとりっきり 一年後のある日」(2015/HDV/20分)
福島第一原発から12キロの富岡町に一人で動物たちと残り続ける男・ナオトの一年後を取材した短編映画。急激に変化した富岡町の風景。沿岸部には巨大な焼却炉が作られ、除染廃棄物が入った黒いフレコンバッグが山積みされ、不気味な風景が広がる。一方、誰もいなくなった町の桜並木は満開になる。町に莫大な資金が投入され、除染作業が進む中、ナオトを始め、町の人たちの暮らしは何も変わらず、置き去りにされたままだ。話題のドローンの映像を駆使し、不条理な状況に置かれた富岡の町の人々の今を伝える。
●尋常ではない出来事に、尋常に対処する男の日々、そこにはほのかな明るさがある。希望も多分そういうところにひそんでいる。───谷川俊太郎(詩人)
●この男の生き様、それは高倉健のように潔く見える。だが、この映画に潔い答えを見出すのは果てしなく難しい。それはこの映画が物語のわずか序章に過ぎないからかも知れない。わずか序章に過ぎないのだとしても、それにしても深く深く考えさせられ、唸らされる。そんな映画であり、男の生き様である。
───岩井俊二(映画監督) |