DVDの内容紹介
●各作品紹介
『禿山の一夜』9分/モノクロ/1933年
版画挿絵画家であったアレクセイエフの初アニメーション作品であり世界で初めてのピンスクリーン・アニメーション。当時弟子であったクレア・パーカーとの共同制作。
『道すがら』4分/モノクロ/カラー/1944年/製作:カナダ国立映画制作庁NFB
民謡を主題に風車や畑、教会などの前を通り過ぎるたびに、怖い音がしたように聞き間違えて、おびえて逃げ回る様子を描く。
『鼻』7分/モノクロ/1963年/原作:「鼻」(ニコライ・ゴーゴリ)/1964年、クノック・ル・ズート映画祭、オーバーハウゼン映画祭、ディプロマ映画祭で受賞
ピンスクリーンでなければ描けない、独特の非現実的な映像世界。即興性や、新しい方法や表現を自由に試みる。映像に合わせて音楽が後から作られた。
『展覧会の絵』5分/モノクロ/1972年
ムソルグスキーが友人の画家ハルトマンの遺作をモチーフにした楽曲「展覧会の絵」をモチーフに制作。アレクセイエフ自身の幼年期の体験も織り交ぜ、映像化した。大きなピンスクリーンの前に小さなピンスクリーンを配置し、立体的な効果を生み出すなど、新しいテクニックも導入されている。
『三つの主題』4分/モノクロ/1980年/1980年ザグレブ映画祭審査委員賞受賞
『展覧会の絵』の続編として、ムソルグスキーの4番から6番目の曲までを使用。今回はハルトマンの絵の要素よりも、オリジナルの題材を映像化。4曲目では、自分が夢で見た月夜の晩にそよぐ葉の様子をスローモーションで表現し、5曲目では『展覧会の絵』で制作したイメージが壁にかかっている絵になるように演出、6曲目ではムソルグスキーが自分の音楽を出版社に持ち込んでいる様を描く。
パーカー、アレクセイエフ二人の遺作。
コマーシャル映像集20編 4分/カラー&モノクロ/1939〜64年
映画館で上映されたいわゆる劇場用コマーシャル映画。
眠れる森の美女(ニコラ)、パンディスク、自動的オーケストラ、オスラム、帽子のパレード、四つの天使、新星、100%(ネスカフェ)、煙、コシナール、ノクターン、不変、汚れなき美、匿名(ロレアル)、脚韻、オートメーション(ルノー)、仮面、気晴らし、地球のエキス(エッソ)、水(エビアン)、など世界的な会社によるコマーシャル映像。自作と違いカラー作品が多く、ピンスクリーン・アニメーション以外の様々な手法が用いられている。
習作『振り子の習作』1950年/モノクロ
習作『イリュージョナリー・ソリッドの研究』1960年
アレクセイエフが開発した撮影技法の研究フィルム。対象物を動かし、その残像が作る動きの光跡をイリュージョナリー・ソリッドと名付けた。さらに、このソリッドをフィルム上に撮影する方法をトータリゼーションと名付けた。振り子と電磁石による機械の組み合わせで計算どおりに対象物を動かすことができるシステム、いわゆるモーション・コントロールによる撮影法の一種を開発したのである。タバコのコマーシャル映画の「煙」や石油のコマーシャル映画の「地球のエキス」に、こうした撮影法を取り入れている。
ドキュメンタリー『ドクトル・ジバゴのための挿絵』1960年
アレクセイエフとパーカーは、パステルナーク著「ドクトル・ジバゴ」(1959年出版)の挿絵を約200枚ピンスクリーンで制作したが、その模様をとらえたドキュメンタリー。
ドキュメンタリー『ピンスクリーン』監督:ノーマン・マクラレン/1973年
アレクセイエフとパーカーがNFBのアニメーターにピンスクリーン技法を教える。
ドキュメンタリー『「三つの主題」メイキング』
ギャラリー
アレクサンドル・アレクセイエフ、クレア・パーカーのポートレート、制作装置などの写真
アレクサンドル・アレクセイエフ Alexandre Alexeïeff
●プロフィール
1901年ロシア生まれ。1921年にパリで舞台装置デザインを学び、1926年から本の挿絵を始める。1931年にパーカーと出会い、1933年に初めてのアニメーション作品『禿山の一夜』を完成させる。1940年にクレア・パーカーとともにアメリカに移住し、結婚する。ノーマン・マクラレンの紹介でNFBから仕事の依頼を受けながら、1950年代に再びフランスに戻り、コマーシャル映像の制作を再開する傍ら、映画学校や美術館での公演、インタビューなどを積極的に行い、やがてヨーロッパを始め、アメリカやカナダで作品の回顧上映や挿絵作品の展覧会などが行われるようになった。また、NFBでピンスクリーンの講習会を開くなどし、次の世代の育成に貢献。 |