DVDの内容紹介
●アラキネマ「冬春」は、2004年冬から春にかけて撮影された歌人宮田美乃里の写真をモチーフに、日々撮影されたアラーキーの作品が紙芝居のように展開されていく、アラキネマとしては初のモノクロ作品である。
●アラーキーは、宮田美乃里の撮影を2004年1月4日、静岡の海岸から始める。宮田は、乳ガンにより左乳房の全摘出手術を受けた。自ら希望してヌードを撮って欲しいとアラーキーに手紙で申し込む。アラーキーはそうした思いを全身で受け止め、撮影を始める。海岸で、スタジオで、桜の下で‥‥‥時は過ぎる。やがて冬が過ぎ、春になる。
アラキネマ紙芝居は静かに淡々と続く。街、通り、空、花、ヌード、緊縛、刺青、ポートレイト‥‥‥2004年の冬から春にアラーキーが出会った「こと」が、アラキネマの中に散りばめられている。宮田はアラーキーに歌を詠む。アラーキーは写真で歌を返す。「冬春」はアラーキーの返歌そのものである。
そして、ある春の日、クライマックスは訪れる。
●Arakinema:アラキネマ
映画でもなくスライドでもない。全く新しい写真表現である。写真家・荒木経惟自身の演出による写真表現を、見る側が同時体験し共有するものである。エモーショナルな動きは田宮史郎、安齋の手指による官能的なオーバーラップによってもたらされ、光を通して見るその映像に音楽が加わる。一枚の写真が光を通して闇の中にイメージを結び、次の瞬間には別の写真とオーバーラップして溶け合い混じり合い、二枚目の写真が確かなイメージを結ぶと最初の写真は闇の中に消え去る。この瞬間、この刹那、この官能。アラキネマは一つの確かなジャンルである。 |