監督・脚本:目黒啓太/原作:「マロンパティの精水 いのちの水の物語」小嶋忠良(PHP 研究所)/原案:湯川剛/音楽:勝端順一、前田哲彦/撮影:谷峰登/プロデューサー:山本祥生/主題歌:elfin’「アンルート」(EXIT TUNES)/製作:セカイイチオイシイ水製作委員会/企画・制作:株式会社パラサング 出演:辻美優(elfin’)、赤井 英和、新井裕介(男劇団 青山表参道 X)、花房里枝(elfin’)
2019年/91分/カラー/日本語/日本/特典映像:劇場予告編
● 今から約20年前、日本に留学していたフィリピン人男性から、アジアでボランティア活動をしていたNGO「アジア協会アジア友の会」に自分の故郷であるパナイ島のパンダンに井戸を掘ってほしいとの依頼の電話があった。 首都マニラから300キロ南のパナイ島。 しかし、その島に安全な飲料水を供給するには、井戸水では間に合わないと分かった。キレイな水を水源から丘を越えて引かねばならなかった。「パンダン飲料水パイプライン建設事業」=パンダンプロジェクトのスタートだ。丘を越えてパイプラインを引くことの困難にもう一つ越えなければならない困難があった。第二次世界大戦のつらい記憶が、フィリピンの人々の心の傷として深く残っていたのだ。 それから9年。泥と汗にまみれながら、様々な苦難を乗り越えるうち、やがて日本人とフィリピン人の固い絆が生まれ、日比の友情のあかし「パンダンプロジェクト」は完成した。その水を飲んだパンダンの人々は叫んだ「セカイイチオイシイ!」 今なお世界には、安全な水が供給されずに死んでいく子供たちが年間100万人以上いる。この物語は、過去を乗り越え「今を生きる」ことの大切さを教えてくれる「人間賛歌」である。現代の日本やアジアに住む子供たちに広く知ってもらい、より豊かでハッピーなアジアの未来を築くために──。 ● ストーリー フィリピンの首都マニラから300キロ南にあるパナイ島の田舎町パンダン。海水混じりの井戸水しかないパンダンでは、多くの村人が腎臓病などに悩まされていた。友人に誘われ軽い気持ちで、パンダン水道建設工事プロジェクトにボランティアとして参加した女子大生・明日香(辻 美優)。フィリピンに到着すると、日本人ボランティアの田中(新井裕介)がボロボロのジープで出迎えてくれた。 「この水はアミーが、明日香のために汲んできたんだよ」 ホームステイ先の娘・アミーが、明日香に一杯の水を渡す。なんの変哲もない水に、困惑する明日香。実はこの水は、アミーが明日香の為に、遠く離れた水源までひとりで行って汲んできた貴重な水だったのだ。 翌日、現場責任者の岩田(赤井英和)に連れられ工事現場に行くと、照り付ける日差しの中、泥まみれになっての過酷な作業が待っていた。戦争の禍根から日本人に反発する現地の人々...。そんな中、明日香はアミーと、絵本と折り紙を通して仲良くなっていく。しかし、アミーも実は重い腎臓病に蝕まれていた。その事実を知った明日香は、この村の人々に、何より大切な友達・アミーに「安全でおいしい水を1日でも早く届けたい」と心の底から思うようになる。 その後、明日香は幾度となくパンダンを訪れ工事を手伝った。いつしか日本とフィリピンの人々も心を通わせるようになり、力を合わせ遂に水道は開通した。大喜びする村人を背に、腎臓病が進行して入院しているアミーのもとへ「おいしい水」を届ける明日香。アミーは、明日香の持ってきた水を飲むと「セカイイチオイシイ」と笑顔を見せる。しかし、その翌日、アミーは...。