DVDの内容紹介
●阿賀野川はいつまでも雄大に
新潟県に流れる阿賀野川のほとりに暮らす人々を3年間に渡って撮影した『阿賀に生きる』から10年、映画に登場した愛すべき人たちの多くがこの世を去ってしまった。佐藤真監督と小林茂キャメラマンは再び阿賀の地に赴くことを決意する。今は荒れてしまった田んぼや、主を失った囲炉裏などにキャメラを向け、人々が残した痕跡に10年前の映画づくりの記憶を重ねていく。そして、時間とは無関係であるかのように、阿賀野川はいつまでも雄大に流れる。人々と土地をめぐる記憶と痕跡に、『阿賀に生きる』という映画の記憶が交差し、過去と現在を繊細かつ大胆に見つめた作品の誕生である。
●記憶、そして「映画についての映画」
田んぼ跡にスクリーンを張ろう−−−− 。
リュミエール的映写を意識したのか、佐藤監督の一声によって『阿賀に生きる』が阿賀の闇夜に浮かび上がった。野外で上映を行い、その上映を別途撮影することで何が見えてくるだろうか。撮影を通じて重みを増していくのは、鬼籍に入ってしまったジイちゃんたちが『阿賀に生きる』ではまだ生きているという事実。それを映画の残酷さと考えるのか、映画の永遠の命ととらえるのか。『阿賀の記憶』は「映画についての映画」でもある。
●新たな主役も登場
『阿賀の記憶』の主役ともいえる渡辺参治さんは、撮影当時なんと御年88歳。張りのある歌声はまさに時空を超えて阿賀に響き渡り、阿賀の過去と現在を結びつけます。
●『阿賀の記憶』は静かに問いかける。
記憶すること。忘れてしまうこと。そして、それでも
人は生きていくことを---。・・・・是枝裕和
●音と映像の葛藤が作り出す、
透明な映画空間の恐ろしいほどの広がり。
10年という阿賀野川の歳月を超え、
100年の映画の記憶がその空隙に一気に流れ出す。・・・・諏訪敦彦 |