DVD『天使』の内容紹介
●これはまさにフランス映画における事件! 1984年4月、パリで一般公開されるやいなや、フランスのマスコミ各紙はいっせいに最大級の賛辞を送った。「ルーカスのスタジオで修業を積んだレオナルド・ダ・ヴィンチが作った、フランス最初のSF映画」(リべラシオン)。あの『アンダルシアの犬』の再来としてフランス映画界の話題を独占した、このまったく新しいアヴァンギャルド映画の登場でシュールレアリズムの伝統を持つフランス映画界にまた新たな金字塔が築かれることになった。
●現代のフェルメールとカフカが創造した、光と音による鮮烈なイメージ が、小説家カフカが描き出したような七つのシークエンスからなる悪夢のように打ち奇せる幻想的な映像。ミシェール・ボカノウスキーの弦を中心にした魅惑的な音楽。光と音の鮮烈なイメージに、観客は迷宮に誘い込まれ「天使」と「悪魔」に出会うことになる。不可思議な登場人物を演ずるのはジャン・ルノワールの『どん底』などで知られる名優モーリス・パケ、パリの著名なキャバレー「クレージー・ホース」のかつてのスター、リタ・ルノワール、そしてパントマイム出身のジャン=マリー・ボンなど、異色の豪華キヤスト陣。
●5年の歳月をかけた特殊効果撮影! 天井から吊るされた人形に突きかかるサーペルの仮面男、テーブルからゆっくり落ちる壷と飛び散るミルク、中世の木版画のようなイメージ、膨大な書籍の山とせわしなく働く図書館員たち、浜辺の透明な立方体の中の裸女と襲いかかる男たち。これらのイメージはメリエスの映画に見られるような古典的な特殊効果から、複雑なセット、特殊合成、1コマ単位の気の遠くなるような細密な技術が駆使されている。セット作りと撮影に2年、特殊効果と編集になんと3年!が費やされている。
DVD『ボカノウスキー短編集』の内容紹介
●長編作品『天使』でアート映像の世界を驚愕させたパトリック・ボカノウスキー。
そこに至る映像初作品からデジタル映像による最新作まで、現代のジャン・コクトーと呼ばれる彼の独自世界10作品を収録。
●各作品紹介
『白粉を塗る女』35mm/18分/1972年/仮面の男、白粉を塗る女など幻想的な作品。ボカノウスキーの映像初作品。
『朝の食事』35mm/12分/1974年/部屋の中で暴れる男、不規則な速度で昇る太陽、干草を運ぶ人など、鮮烈なイメージはその後の『天使』に展開される。
『海辺にて』35mm/14分/1991年/海辺の風景が幻想的な風景にメタモルフォーズして表現される。
『湖にて』35mm/6分/1993年/『海辺にて』の湖版。馬で走り去るする人々など、見事な変容ぶりで描かれる。
『炎』35mm/4分/1998年/炎と炎のように変容した人による幻想的な空間。
『オルフェウスの破片』35mm/5年/2002年
『鴨のオレンジソース蒸し』35mm/9分/2002年
『太陽の鼓動』35mm/18分/2008年
『飛翔』HD/4分/2018 年
『不屈』HD/8分/2018年
パトリック・ボカノウスキー Patric Bokanowski
●1943年生まれ。82年に発表した長編映画第1作『天使』でフランスを代表するアヴァンギャルド映画作家として伝説的な存在となる。絵画、写真、光学を学び、72年に最初の短編映画『白粉をぬる女』発表。収録作品以外に『朝の食事』(74)、『偶然の分け前』(84)などがある。91年に「Y.F.ドローウィング」を発表、画家としても活躍。 |